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泣き面に蜂の中国「企業安全生産キャンペーン」

アップデート:2017/09/10 お知らせ 閲覧数:3300

泣き面に蜂の中国「企業安全生産キャンペーン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9月4日中国「国家安全生産監督管理総局」(state administration of work safety)の

オフィシャルサイトの記事によると、同機構は9月より31もの「督査組」(取り締まり視察チーム」を

全国の各行政区に派遣する事を決定し、激励会を行ったと報じられた。

このキャンペーンは、既に環境規制の対応に疲弊している中国の企業にとっては

まさに「泣き面に蜂」に他にならない。

今なお中国の各企業を苦しめている「環境保護部」(ministry of environmental protection)が主導する

環境規制とは違い、今回の安全生産キャンペーンは全く別の部門が主導する活動であり、

但し各企業に与える影響/重圧は環境規制に匹敵するほど大きいものだと思われ、

中国企業界では既に「必死な思いで昨年年末ごろよりスタートした史上に類を見ない

環境取り締まりから生き残って来た企業」の「ラクダの背骨を折る最後の藁」になるではないか、

と嘆く声も聞こえた。そもそもラクダによっては非常に弱まっている同士も居る状況だ。

 

得意先様のご要請もあり、中国の仕入れ先に某無機粉末製品の価格の現況を確認したが、

「暫くの間は、値段のアップダウンを聞かれるよりは、製品を無事に送り出せるかどうかを

聞かれた方が確実だ」と、仕入先の社長はこう述べた。これからPM2.5多発する秋冬時期に入り、

各地方政府は「大気十条」の任務を果たす為に今以上に関連企業の排出を自制するよう求めるか、

強制的に会社ラインを止めさせるのもシバシバ行っている。その一例は唐山市は対前年重度汚染日数を

20%減らす為に10月より来年3月末まで管轄内の全ての鋳造、セメント、窯業、及びセラミックなど

建材業界を操業停止させる措置を取ることになった(河北日報の記事による)、である。

環境規制のダモクレスの剣に怯えている企業は安全生産の検査は致命な一撃になると言っても過言でもないだろうか。

 

今回の「安全生産キャンペーン」発起の背景にあるのは間近に控えている中国共産党第19回全国代表大会に

不安定要素を一掃したい意図が見え隠れ、且つ今年に入り鉱山ガス爆発死亡事故など大型生産事故が

相次いで発生しておるため、企業の安全生産意識を高め、大型事故を撲滅する目的を掲げている。

 

改革開放以来、中国の民間企業は雨後の筍のように年々驚くほどスピードで増え、

次第に国全体は「世界の工場」に成りあがったが、世界の企業と戦うのに使ってきた武器は

例外なく「低価格」であった。近年経済成長に伴い中国の人件費の高騰と、競争相手は東南アジアなど

さらに人件費用が低い国の企業が加えたことにより、低い製造コストを維持するため、違法を承知の上、

金儲けを目的に設立された会社は安全生産にかける出費を惜しんでいた会社は多数存在しているのも現実だ。

 

環境規制から安全生産検査キャンペーンまで、今年は中国の企業特に化学品企業にとっては大きな試練を迎えた

一年であり、資金力潤沢で国の新しい規制に迅速にこたえられる企業は勝ち抜けるターニング・ポイント、

延いては会社成長のマイルストーンに変えられるが、そうではない企業は次第に淘汰されるだろう。

全く心外な起因かもしれませんが、「弱肉強食」の摂理は中国企業界で正に演じられており、日本の需要家、

特に取引条件をT/T in advanceで取引されている需要家の目利きを一層に試される時期ではないでしょうか。